西フランク王国とは?後のフランス・ヴェルダン条約を解説

西フランク王国とは、843年のヴェルダン条約フランク王国が三分割されたとき、カール2世が受け取った西側の王国です。

世界史では、西フランク王国は「後のフランスにつながる国」として重要です。ただし、西フランク王国がそのまま現代フランスだったわけではありません。王権は弱く、地方諸侯やノルマン人の動きも大きく、987年のカペー朝成立を経てフランス王国へつながっていきました。

この記事では、西フランク王国の成立、場所、王、東フランク王国との違い、メルセン条約、カペー朝との関係をわかりやすく整理します。

もくじ

まず一言でいうと

西フランク王国は、843年のヴェルダン条約で成立したフランク王国西部の王国で、後のフランス王国の前身です。

項目内容
成立843年、ヴェルダン条約
初代の王カール2世(禿頭王、シャルル2世)
位置フランク王国の西部。おおむね現在のフランス方面
比較対象東フランク王国、中部フランク王国
重要な流れフランク王国の分裂 → 西フランク王国 → カペー朝 → フランス王国
覚え方西フランク=後のフランス、東フランク=後のドイツ方面

西フランク王国はいつ成立したか

西フランク王国は、843年のヴェルダン条約で成立しました。

カール大帝の死後、フランク王国では後継者争いが起こりました。カール大帝の子ルートヴィヒ1世の死後、その息子たちが争い、最終的に843年のヴェルダン条約で王国が三分割されました。

このとき、西側を受け取ったのがカール2世です。彼が支配した地域が西フランク王国と呼ばれます。

ヴェルダン条約との関係

西フランク王国を理解するうえで最も重要なのが、ヴェルダン条約です。

ヴェルダン条約では、カール大帝の帝国が三つに分けられました。

分割後の国支配者後の流れ
西フランク王国カール2世フランス方面へつながる
東フランク王国ルートヴィヒ2世ドイツ方面へつながる
中部フランク王国ロタール1世ロタリンギア、イタリア方面などに分かれる

この分割は、後のフランス・ドイツ・イタリア方面の歴史を考える出発点として重要です。

西フランク王国の場所

西フランク王国は、フランク王国の西側にあった王国です。おおむね現在のフランス方面にあたります。

ただし、現在のフランスの国境と完全に一致するわけではありません。ブルターニュ、アキテーヌ、ブルゴーニュ、フランドル、ノルマンディーなど、地域ごとに有力な勢力が存在し、王権が強く及んだわけではありませんでした。

つまり、西フランク王国は「フランスの直接の出発点」ではありますが、近代国家としてのフランスとは異なる中世の王国です。

初代の王カール2世

西フランク王国の初代の王は、カール2世です。日本語では「禿頭王」とも呼ばれ、フランス史ではシャルル2世と表記されることもあります。

カール2世は、ルートヴィヒ1世の子であり、カール大帝の孫にあたります。843年のヴェルダン条約で西フランク王国を受け取り、875年には一時的に皇帝にもなりました。

しかし、西フランク王国の王権は強固ではありませんでした。地方貴族の力、アキテーヌの問題、ヴァイキングの侵入などに悩まされました。

東フランク王国との違い

西フランク王国と東フランク王国は、どちらもフランク王国の分裂から生まれました。

世界史では、「西フランク=後のフランス方面」「東フランク=後のドイツ方面」と覚えると整理しやすいです。

比較西フランク王国東フランク王国
成立843年843年
条約ヴェルダン条約ヴェルダン条約
カール2世ルートヴィヒ2世
地域現在のフランス方面ライン川以東、現在のドイツ方面
後の流れフランス王国へドイツ王国・神聖ローマ帝国方面へ

中部フランク王国との関係

ヴェルダン条約で西フランク王国と東フランク王国の間に置かれたのが、中部フランク王国です。

中部フランク王国は、ロタール1世が支配しました。現在のベルギー、オランダ、東フランス、西ドイツ、スイス、イタリア方面にまたがる細長い地域で、統治が難しい王国でした。

その後、中部フランク王国はさらに分裂し、870年のメルセン条約でロタリンギアの一部が西フランクと東フランクの間で分けられました。

メルセン条約との関係

メルセン条約は、870年に結ばれた条約です。

中部フランク王国の一部であったロタリンギアを、西フランク王国のカール2世と東フランク王国のルートヴィヒ2世が分け合いました。

ヴェルダン条約がフランク王国を三分割した条約だとすれば、メルセン条約は中部フランクの再分割を進めた条約として理解できます。

西フランク王国とノルマン人

西フランク王国は、ヴァイキング・ノルマン人の侵入にも悩まされました。

9世紀、ノルマン人はセーヌ川やロワール川などを利用して西フランク地域へ侵入しました。西フランクの王たちは、軍事的に対応するだけでなく、金銭を払って撤退させることもありました。

のちに911年、ノルマン人の首長ロロにノルマンディー地方が与えられ、ノルマンディー公国が成立します。これは西フランク王国の王権の弱さと、地方勢力の自立を示す出来事です。

カロリング朝からカペー朝へ

西フランク王国では、はじめカロリング朝の王が支配しました。

しかし、地方諸侯の力が強まり、王権はしだいに弱まりました。987年、カロリング朝の王統が退き、ユーグ=カペーが王に選ばれます。これがカペー朝の始まりです。

カペー朝の成立によって、西フランク王国はフランス王国へとつながる新しい段階に入りました。ただし、カペー朝初期の王権もまだ弱く、実際に広い範囲を支配できるようになるには長い時間が必要でした。

後のフランスとの関係

西フランク王国は、後のフランス王国の前身です。

ただし、「843年に現代フランスができた」と考えるのは正確ではありません。西フランク王国は、後のフランスへつながる出発点であり、カペー朝の成立、王権の強化、地方諸侯との争いを経て、しだいにフランス王国としてまとまっていきました。

世界史では、「西フランク王国=フランスのもと」と覚えつつ、現代国家とは区別することが大切です。

世界史上の意味

西フランク王国の成立は、カール大帝の統一帝国が分裂し、ヨーロッパが複数の王国へ分かれていく流れを示します。

とくに、843年のヴェルダン条約は、後のフランス・ドイツ・イタリア方面の歴史を考えるうえで重要です。

西フランク王国は、その中でも後のフランス王国へつながる王国として、ヨーロッパ中世史の基本用語になっています。

年表で見る西フランク王国

出来事
800年カール大帝がローマで皇帝として戴冠される
814年カール大帝が死去する
840年ルートヴィヒ1世が死去し、後継者争いが激しくなる
842年ストラスブールの誓約でカール2世とルートヴィヒ2世が協力する
843年ヴェルダン条約で西フランク王国が成立する
870年メルセン条約でロタリンギアの一部が再分割される
877年カール2世が死去する
911年ノルマンディー公国成立のきっかけとなる取り決めが行われる
987年ユーグ=カペーが王となり、カペー朝が始まる

世界史での覚え方

西フランク王国は、ヴェルダン条約の三分割とセットで覚えるのが最も効率的です。

覚えるポイント内容
条約843年のヴェルダン条約
カール2世
位置西側、現在のフランス方面
比較東フランク王国は後のドイツ方面
重要な転換987年、カペー朝成立
注意点西フランク王国は現代フランスそのものではない

関連用語

用語関係
フランク王国西フランク王国のもとになった王国
カール大帝フランク王国を拡大し、帝国の基礎を作った王
カロリング朝西フランク王国初期の王朝
ヴェルダン条約843年、西フランク・東フランク・中部フランクへ分けた条約
東フランク王国後のドイツ方面につながる王国
メルセン条約870年、中部フランクの一部を西東で再分割した条約
ノルマン人西フランク王国に侵入し、のちにノルマンディー公国と関係する
カペー朝987年に始まり、フランス王国へつながる王朝
神聖ローマ帝国東フランク方面から展開する皇帝権の流れと関係する

よくある質問

西フランク王国とは何ですか?

843年のヴェルダン条約でフランク王国が三分割されたとき、カール2世が受け取った西側の王国です。後のフランス王国につながります。

西フランク王国は現在のどこですか?

おおむね現在のフランス方面です。ただし、現在のフランスの国境と完全に一致するわけではありません。

西フランク王国の初代の王は誰ですか?

カール2世です。禿頭王とも呼ばれ、フランス史ではシャルル2世と表記されることもあります。

西フランク王国と東フランク王国の違いは何ですか?

西フランク王国は後のフランス方面、東フランク王国は後のドイツ方面につながる王国です。どちらも843年のヴェルダン条約で成立しました。

西フランク王国はいつフランス王国になりましたか?

一度に変わったわけではありません。987年にカペー朝が成立し、そこからフランス王国としてのまとまりがしだいに強まっていきました。

確認問題

問題答え
西フランク王国が成立した条約は?ヴェルダン条約
ヴェルダン条約が結ばれた年は?843年
西フランク王国の初代の王は?カール2世
西フランク王国は後のどの国につながる?フランス王国
東フランク王国は後のどの方面につながる?ドイツ方面
870年にロタリンギアの一部を再分割した条約は?メルセン条約
987年に始まったフランス王朝は?カペー朝
西フランク王国に侵入し、ノルマンディーと関係した人々は?ノルマン人

参考文献・参考資料

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