プロレタリア独裁って何?現代社会に残した知られざる意外な功績とは⁈

プロレタリア独裁とは、プロレタリアートによる独裁のことで、日本語では労働者階級独裁や無産階級独裁と訳されます。 

これは、カール・マルクスやフリードリヒ・エンゲルスの理論に基づいており、資本主義から共産主義社会への過渡的な段階として提唱されました。 

「労働者階級が独裁?」

と、私は少し違和感を覚えました。 

それは、私の中では独裁というとヒトラーに代表されるように権力を持っている人が行うものというイメージがあるからです。 

今回は、このプロレタリア独裁がなぜ起こったのか、実際の事例ともたらした功績について掘り下げてみようと思います。

もくじ

資本主義と共産主義


先に述べましたように、プロレタリア独裁とは資本主義から共産主義社会へ移行する過渡的な段階を指すのですが、そもそも資本主義、共産主義とはどのようなものなのでしょうか。

資本主義

土地や工場、企業などの生産手段は個人や法人によって所有されています。

現代の日本も資本主義国家であり、企業や個人が自由に取引を行うことができ、競争が活発になることで効率的な経済の発展が期待されます。

その一方で、資本家(ブルジョアジー)と労働者(プロレタリア)の間で格差が生まれ、労働者は権利を軽視される可能性もあります。

共産主義

土地や工場、機械などの生産手段や財産を共有します。これによって、差別や抑圧のない平等で理想的な社会を目指すという考えです。

しかしながら、実際には権力の集中や経済的な非効率などの問題が生じ、理想通りにはいかないといった現実があるようです。

プロレタリア独裁の始まり

プロレタリア独裁を提唱したマルクスは、1871年にフランスのパリで成立した短命の政府であるパリ・コミューンを『労働者階級による国家権力の最初の形態』として評価し、プロレタリア独裁の初期の具体例としました。

パリ・コミューンは、フランスの第二帝政がプロイセン王国に敗北し、政権が崩壊したことにより、パリ市民が反乱を起こし、労働者自治政府を確立しました。

このコミューンはすぐにベルサイユ政府軍によって鎮圧され、約2ヶ月間という短期間で幕を閉じましたが、以下のような様々な社会改革を試みました。

  • 労働時間の短縮
  • 失業者への補助金の支給
  • 教育の無料化と世俗化
  • 公務員の給与制限と選挙による選出

          私は、これらの試みを知り、驚きました。

          独裁と聞くと身勝手で多くの人を犠牲にしてしまうような、あまり良いイメージを抱かないのですが、実際は、労働者の権利を保障するような、前向きな取り組みがされようとしていたのです。

          このパリ・コミューンは、マルクス主義者にとって重要なモデルとなり、その後の活動に大きな影響を与えたようです。

          プロレタリア独裁の実例


          ロシア革命

          ロシア革命は、プロレタリア独裁で最も有名な実例です。

          1917年の十月革命によってロシア帝国が崩壊し、ポルシェヴィキ(のちのソビエト共和国)が政権を掌握することとなりました。

          そのポルシェヴィキを率いるウラジーミル・レーニンは、マルクス主義に基づいて、労働者や農民が権力を持つ社会主義国家を目指し、以下のような政策を実施しました。 

          • 土地の国有化と農民への再分配
          • 工場の労働者による管理
          • すべての金融機関の国有化
          • 教育や医療の無償化

            これにより、労働者階級が中心となった新しい社会の実現を目指しましたが、実際には権力が一党(共産党)に集中し、スターリンの時代には、厳しすぎる取り締まりや強制収容所の設置など、理想とは程遠いものとなってしまいました、

            中国共産党による支配 

            1949年に。中国共産党が中華人民共和国を樹立したこともプロレタリア独裁の一形態とみなされています。 

            毛沢東率いる中国共産党は、農民を中心とした革命を成功させ、以下のような政策を実施しました。 

            • 大規模な土地改革と集団農場の設立
            • 文化大革命を通じた資本主義的文化や考え方の排除
            • 大躍進政策による国家主導の工業化

              しかしながら、文化大革命により、知識人の弾圧、教育の停止、経済活動の停滞が発生し、社会的混乱が生じました。 

              また、大躍進政策も無理な生産目標と農業集団化の結果、農業生産が激減し、大規模な飢饉を引き起こしました。

              以上のことから、中国におけるプロレタリア独裁も、大規模な社会的混乱と人権侵害を引き起こし、失敗に終わったのでした。

              まとめ

              プロレタリア独裁は、資本主義社会において生じうる格差社会からの離脱を目指して、打ち立てられた思想ですが、問題点も生じてきました。 

              先にあげた、フランス、ロシア、中国の事例から、資本主義社会で不利益を被る労働者や農民の利益を守り、富や権力の不平等を解消しようと実践されましたが、結局は権力の集中が起こり、人権侵害や社会的な非効率性が浮き彫りとなり、理想通りにはなりませんでした。

              しかし、これらのプロレタリア独裁を通して、現在の社会の基盤になっているような、労働者を保護する制度や教育・医療の普及につながった例もあり、完全に否定されるものでもないことがわかりました。

              それぞれの革命の過程で起きた、プロレタリア独裁。

              プロレタリア独裁が残した歴史的な功績は、現代社会に大きな影響を与えています。

              現在は資本主義国家が多くを占めていますが、当時のような完全な資本主義国家でも完全な社会主義国家でもない、いわゆる『混合経済モデル』とすることで、労働者の権利が保障され、経済活動も維持されています。

              その結果、当時のような極端な格差社会とは異なる形で、現代の資本主義社会が成り立っていることに気づきました。

              今回、プロレタリア独裁について調べたことによって、私たちが当たり前のように過ごしている現代社会における様々な保障がこれらの革命を通じて確立したものだと知ることができました。 

              現在の自分にとっての当たり前が、歴史上の混乱により生み出されたものであり、また、世界的に見れば、まだ当たり前ではない国もあることを心に留めて、自分の置かれている環境に感謝して生きていきたいと考えました。

              最後まで読んでいただきありがとうございました。

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